【採用】面接で「いい人だと思ったのに…」を防ぐ!中小企業のミスマッチ採用回避術

「面接ではあんなにハキハキと話していて、経験も十分そうだったのに、いざ入社してみたら期待外れだった…」
「人柄は良さそうだったけれど、どうも会社の雰囲気に馴染めないみたいだ…」

中小企業の経営者様や採用担当者様の中には、このような「採用のミスマッチ」に頭を悩ませた経験がある方も多いのではないでしょうか。

せっかく時間とコストをかけて採用した人材が、期待したパフォーマンスを発揮できなかったり、早期に退職してしまったりするのは、企業にとって大きな痛手です。特に、限られたリソースで運営している中小企業にとっては、一人ひとりの採用の成否が事業の行方を左右すると言っても過言ではありません。

では、なぜ面接で「いい人だと思ったのに…」というミスマッチが起きてしまうのでしょうか?そして、どうすればそれを防ぐことができるのでしょうか?

なぜミスマッチは起こるのか? よくある勘違い

多くの企業が面接で陥りがちなのは、「印象」や「話し上手さ」に左右されてしまうことです。

  • 「ハキハキと元気な受け答え」=「仕事ができる」と思い込む
    • 落とし穴: コミュニケーション能力が高いように見えても、実際の業務遂行能力や問題解決能力とは必ずしも一致しません。面接の場慣れしているだけで、実務経験が乏しいケースもあります。
  • 「志望動機が立派」=「自社への熱意が高い」と判断する
    • 落とし穴: 企業のホームページをよく読み込み、模範的な回答を用意してくる応募者は少なくありません。その言葉が本心から出たものなのか、それとも面接対策なのかを見極める必要があります。
  • 「経歴が素晴らしい」=「即戦力になる」と期待しすぎる
    • 落とし穴: 前職での華々しい経歴が、必ずしも自社で再現できるとは限りません。企業文化やチームメンバーとの相性、仕事の進め方の違いなど、環境が変わればパフォーマンスも変わる可能性があります。
  • 「自社の理念に共感してくれた」=「社風に合う」と早合点する
    • 落とし穴: 面接の場で「理念に共感します」と答えるのは簡単です。しかし、その共感が表面的なものでないか、実際の行動レベルで理念を体現できる人物かどうかを見抜くのは難しいものです。

これらの「勘違い」は、面接官の主観や思い込みによって引き起こされることが多く、結果として採用のミスマッチを生んでしまうのです。

ミスマッチを防ぐための面接術:3つのポイント

では、面接で候補者の本質を見抜き、ミスマッチを防ぐためには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。

  1. 「過去の行動」に焦点を当てる
    「もし〇〇だったらどうしますか?」といった未来の仮定の質問よりも、「過去に〇〇という状況で、あなたは具体的にどのように行動しましたか?」という、過去の具体的な行動事実を深掘りする質問が有効です。
    • なぜ有効か?: 過去の行動は、その人の思考パターンや価値観、行動特性を客観的に示してくれます。「頑張ります」という言葉よりも、実際に困難をどう乗り越えてきたのか、チームでどのように貢献してきたのか、といった具体的なエピソードの方が、入社後の姿を予測する上で信頼性が高いのです。
    • 質問例:
      • 「これまでの仕事で、最も困難だった状況と、それをどのように乗り越えたか教えてください。」
      • 「チームで目標を達成するために、あなたが果たした役割と具体的な行動を教えてください。」
      • 「お客様から厳しいクレームを受けた際、どのように対応しましたか?その結果どうなりましたか?」
  2. 「一問一答」ではなく「対話」を心がける
    面接官が一方的に質問を投げかけ、応募者が答えるだけの一問一答形式では、応募者の本音や素顔は見えにくいものです。
    • なぜ有効か?: 応募者の回答に対してさらに質問を重ねたり、時には面接官自身の経験を話したりするなど、対話を通じて相互理解を深めることで、リラックスした雰囲気の中で本音を引き出しやすくなります。また、コミュニケーション能力や柔軟性も見極めることができます。
    • ポイント:
      • 応募者の話に真摯に耳を傾け、興味を持って質問する。
      • 圧迫感を与えず、応募者が話しやすい雰囲気を作る。
      • 自社の情報もオープンに伝え、双方向のコミュニケーションを目指す。
  3. 複数の視点で評価する
    一人の面接官の主観だけで判断するのは危険です。可能な限り、複数の面接官が異なる視点から評価することで、より客観的で多角的な判断ができます。
    • なぜ有効か?: 人によって着眼点や評価ポイントは異なります。例えば、社長は経営的視点から、現場の責任者は実務的視点から候補者を見ることで、よりバランスの取れた評価が可能になります。
    • ポイント:
      • 面接前に、評価基準や見るべきポイントについて面接官同士ですり合わせを行う。
      • 面接後には、各面接官の評価を持ち寄り、ディスカッションを通じて最終的な判断を下す。
      • 可能であれば、現場の社員にも面談に参加してもらい、カルチャーフィットを見極める。

「見極める」と同時に「魅力づけ」も忘れずに

中小企業の採用面接では、候補者を見極めることと同時に、自社の魅力を伝え、入社意欲を高める「魅力づけ」も非常に重要です。どんなに優秀な人材でも、入社したいと思ってもらえなければ意味がありません。

面接は、企業が候補者を選ぶ場であると同時に、候補者が企業を選ぶ場でもあります。
「この会社で働きたい」「この人たちと一緒に仕事がしたい」と思ってもらえるような、誠実で魅力的な面接を心がけることが、採用成功への近道となるでしょう。

ミスマッチ採用は、企業にとっても応募者にとっても不幸な結果しかもたらしません。
今回の記事が、貴社の採用活動の一助となり、「いい人だと思ったのに…」というミスマッチを防ぎ、本当に活躍してくれる人材との出会いに繋がることを心より願っています。